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林紘義著作集第四巻・観念論的・宗教的迷妄との闘い(1999年)

スターリン体制から「自由化」へ―現代「社会主義」体制論 国家資本主義の内的「進化」のあとづけ (1972年)

宮本・不破への公開質問状―ハンガリー事件・スターリン批判・ポーランド問題について (1982年)

我々の闘いの軌跡―“左”右の日和見主義に反対して 栗木伸一評論集 (1979年)

新たな労働者党の建設をめざして―吉岡直人遺稿集 (1974年)

資本主義の民主的改良か社会主義的変革か―日本共産党批判 (1974年)

ジャガノートの車輪の下で―苦悩し闘う労働者たち (1978年)

労働者派・社会主義派の代表を国会へ!―マル労同は第34回衆院選を闘い抜く (1976年)

革命的社会主義の旗をかかげて―マル労同は選挙斗争をどう斗うか (1975年)

破産した“革新”幻想―美濃部都政8年の総括 (1975年)


プレカリアートのメーデー

自由と生存を保障せよ  『海つばめ』(1069号)2008年5月18日

 全国各地のプレカリアート(非正規労働者たち)のメーデーを締めくくる東京での行動・自由と生存のメーデー2008が五月三日、新宿区の大久保地域センターで開催された。主催者の予想をはるかに超える六百人もの若者らが結集し、定員百五十人の会場は肩をくっつけあって座り込む労働者たちで埋め尽され、入り切れない人がロビーや会場外にもあふれかえった。
 集会は、参加団体ごとに“宣言”を発表するという形で進められた。
 合同酒精で働くパート労働者大橋さんは、女性ユニオン東京に加盟して労働条件の改善を求めて活動してきたが、度重なる不当労働行為やいやがらせを受け、でっち上げられた「他の従業員への恫喝行為」などを理由に解雇され、現在も団体交渉と労働委員会での審問等で会社側を追及して頑張りたいと“宣言”した。
 フリーター全般労働組合に参加するガソリンスタンドユニオンのアルバイト労働者は、組合活動を敵視する経営側に全員解雇を告げられたと訴える。解雇理由は、「サブプライム問題にみられるように世界経済は混迷しており、経営環境が厳しい」といった理由にもならないことがらを並べたてる一方で、アルバイトがいなくなってシフトが順調に回らず長時間労働を強いられる正社員がいる、格差社会の問題は正社員にとっても無関係ではない、組合に結集することで闘う手段と勇気を得たとも語った。
 すでにメーデー行事を終えた札幌、名古屋、京都、福岡、熊本などからの報告もあり、「非正規労働者も団結すれば希望が見えてくる」、「低賃金・長時間労働を撤廃しろ、まともに暮らせる賃金と保障を!」、「メーデーを抗議と連帯と反攻の日に!」等々との訴えが続いた。
 集会後、エイトビートの曲を大音量で流すトラックを先頭に“サウンドデモ”が行われ、さらにその後、翌朝まで、雨宮処凛らが参加するトークディスカッションも行われた。
 主催者らが、我々のメーデーは連合などのメジャーなものとは違う、インディーズだ(マイナーだが独立性が高い)と語るが、確かに既成の労働運動とはかなり雰囲気が違う。パンダなどの着ぐるみ姿の参加者や、サウンドデモでは“ノリノリ”で踊る若者が最先頭にいるなど、中高年の労働運動経験者には“ついていけない”ギャップもあるが、それが二十一世紀に生きる若者の感覚であり、先行きに不安を感じる非正規労働者達の感情の表現の一つなのだと理解したい。格差社会の克服は、彼らとの共通の課題なのだから。
(東京・YS)

石原オリンピック

『海つばめ』第1069号2008年5月18日【草枕】

 チベット反乱、聖火リレー騒動に続いて今度は大地震と泣きっ面にハチの北京オリンピックだが、実は石原が3期目の最大課題と位置づける2016年のオリンピック東京招致運動もいよいよ本格化する。IOC(国際オリンピック委員会)が6月に候補都市を数カ所に絞るからだ。
 候補地選定には、当地の盛り上がり具合が大きく左右するというので、この間、学校やPTA、町会や自治会などを動員しての署名集めなどにシャカリキの石原だったが、都がやった500円謝礼付きの世論調査でも賛成は6割ほどでさっぱり。にもかかわらず今年度予算には当初計画の3倍の150億円もの招致経費を計上した。言うまでもなく、候補地になったら、長野オリンピックで国際的な非難を浴びたJOC委員へのあの金に糸目をつけない接待攻勢をまた繰り広げようという魂胆だ。
 もちろん、オリンピックが来なければこの150億円はパーであって、破綻確実の新東京銀行に先頃400億円もの追加の賭け金をつぎ込んだばかりだというのに、またぞろこの新たな博打に巨額の税金を賭けようというのである。お台場カジノ構想は挫折したが、この根っからのヤクザ者は都民のカネで賭博にふけるのだ。
 都の三下奴(担当課長)は招致に失敗しても「経費はレガシー(遺産)として残る」とうそぶいているが、一体どんな遺産が残るというのか。石原はオリンピック招致の提案理由をこう語っている。「このごろ日本は元気がない。周りの国からなめられている。『日本をなめたらあかんぜよ』という表示にオリンピックをやりたい」云々。
 要するに「遺産」などと言えば聞こえがいいが、こうした俗悪で反動的な国家主義、民族主義を煽り、鼓吹すること以外の何物でもない。他にあるなら、挙げてみよ。
 近代五輪の創始者クーベルタンが死に臨んで「生まれ変わったら、今度はオリンピック廃止のために生涯を捧げたい」と語ったという逸話がある。真偽のほどは定かでないが、今の国威発揚と商業主義に堕した現状を見れば、きっとそう言ったに違いない。
(WM)

日本の富豪40人

『海つばめ』 1069号(2008.5.18)「飛耳長目」より

★最近、米経済誌フォーブス(電子版)による「日本の富豪40人」が発表された★1位は任天堂相談役の山内溥で8112億円。同社では家庭用ゲーム機「Wii(ウィー)」などの爆発的ヒットで保有自社株が上昇し、昨年の3位から一気にトップに躍り出た。第2位は昨年首位だった貸しビル業・森トラスト社長の森章(8008億円)。そして第3位が大手パチンコ機メーカー、SANKYO取締り相談役の毒島邦夫(5616億円)と続く。20位までに金貸し業の武富士創業者夫人(10位、3224億円)、アイフル社長(16位、1820億円)、プロミス創業者(18位、1768億円)、アコム創業家兄弟(19位、1716億円)が入っていることが目立つ★最も若い日本の富豪としては、37位に会員制サイトの最大手ミクシイ社長の笠原健二(770億円)が名を連ねている。笠原は昨年、株式を上場し、富豪40傑にランクされた★ゲーム機やパチンコメーカー、そして消費者金融、ネットを利用して趣味や興味を同じくする人たちに交流の場を提供する業者といった連中が何千億、何百億という巨額の財産をもつ富豪に数多く名を連ねているが、彼らの企業は娯楽やギャンブル機械の製造、貧しい大衆に高金利でカネを貸し利子をむさぼるといった社会を支える生産とはかかわりのない企業である。これらの企業は生産的企業の労働者が産み出した富に依存している。そして今やこうした企業が栄え、もてはやされ、そのオーナーなど大株主連中が膨大な富を手にしているのである★まさにこれは、頽廃し、腐朽性を深める日本の現状を象徴している。
(騏)


秦尭禹著 『大地の慟哭 中国民工調査』

『海つばめ』 第1068号2008年5月4日より

労働者、農民の実態を生々しく

 中国の急速な経済発展は、膨大な民工(農民工)の存在なしには考えられない。民工とは、労働力として都市や鉱山等に流入している農民のことである。その多くが賃金労働者として定着している。国家衛生部によると、農村の余剰労働力一・五億人のうち九千八百二十万人が他の産業に転向している。我々はその実態をテレビ等で断片的に知るのみであるが、本書によって彼らが置かれている悲惨で過酷な状態をまとめて知ることが出来る。政府や各省の公的機関の調査・報告の紹介に留まらず、民工の生の声を拾い集めているところに本書の特徴がある。
 消費等の生活実態、労働疾病等の健康問題、民工の精神生活、給料未払い問題、就職状況、民工子弟の教育問題、農村での民工の留守家庭状況等、本書が取り上げている問題は多岐にわたっている。
 北京や上海等の大都市ではビジネスビルやマンションの建築ラッシュに沸いているが、その建築現場を支えているのが民工である。いわゆる3K仕事は彼らが担っているのである。彼らの給料は、年末一括払いになっており、それ以外は月ギリギリの生活費が支給されるだけである。そのため、手許に金がないと、現場のボス(班長)に前借りしなければならない。給料は「人質」になっているのだ。
 多くの企業では、「グループ会計」制度を取り入れている。「建築施工業者が作業の質と工程の進捗速度により、グループに給料を支払い、それを民工個人へと支払うのである」。したがって、給料が出ない場合、その原因が施工業者にあるのか、プロジェクトの責任者にあるのか、それとも班長にあるのか分からず、民工は受動的立場に置かれている。
 建築民工たちが住むのは、二段ベッドの宿舎、臨時に作られた粗末な家屋等である。驚くことに建築中のビルに住まわされる場合もあるという。建築現場に食堂があるが、不衛生極まりない。筆者は、コックが水洗いを省いて切った野菜を無造作に鍋に投げ入れているのを目撃している。また「陳化米(何年も置いて品質が悪くなったコメ)」が民工向け食堂用に使われ、その名も「民工米」と呼ばれていた。食事の質が悪いのに、民工が食堂に行き続けるのは、多くの民工職場で、給料が現金ではなく「食券」=チケット方式で支払われるからである。このチケットでタバコや洗剤などの日用品を買えるが、割高である。そして、この食堂は「請負」方式をとっていて、その管理者の多くは現場の経営者の親族だというのだ。食堂は現場の経営者側に一定の管理費を支払い、低質の食事を高価で提供して暴利を貪っているのである。
 民工の健康問題は深刻である。二〇〇四年、国家衛生部は、中国では毎年十三・六万人が労働疾病により死亡し、大部分が民工であると報告している。著者はその原因として、規定時間を遙かに超える長時間の加重労働、防護装置がとられていない劣悪な労働環境、企業の労働環境に対する軽視、そして民工に仕事の危険性と有害要素に対する知識の欠如の四点を挙げている。
 二〇〇二年に発覚した広東省東莞市での製靴工場でのヘキサン中毒事件、二〇〇四年に起きた紅蘇省昆山市の電子工場でのトリクロロエチレン事件が紹介されているが、ここで起きた事件は、女子民工の無知につけ込んで、使い捨ての雑巾のように扱う企業の姿が暴露されている。
 塵肺は、中国の炭鉱労働者が抱える最も深刻な職業病である。二〇〇二年末現在の塵肺患者は累計五八万人で、そのうち存命者は四十四万人である。二〇〇二年に塵肺を発病した患者は一万二千二百人に達する。民工は、一定期間危険な仕事に就いたあと、潜在的な労働疾病の要因を持って帰省し、農村で発病することが少なくない。彼らは移動が激しいため、治療を受けることが難しい。そのため民工が労働疾病の犠牲者となってしまうのだ。
 「職業病防治法」が二〇〇二年に施行されているが、企業経営者が労働疾病の検査や責任を逃れる手段や形式は日増しに多様化しているという。ある雇用主は、故意に労働疾病の実態を隠したり、ごまかしたりしている。労働者は情報を知らされないまま、危険な作業に従事させられている。
 給料未払い問題も頻発している。民工は、たえず給料欠配の危険に晒されている。中華全国総工会によると、二〇〇三年末現在の給料未払いは一千億元にのぼるという。新華社が実施したアンケートでは、民工の七二・五%が程度の差こそあれ給料欠配という目に遭っていると答えている。
 欠配を受けた民工の多くは泣き寝入りである。行政の労働監察部門の動きは鈍いうえに、民工は裁判に訴えたくても金がないからである。そこで頻発するのは「飛び降りショー」「自殺ショー」と呼ばれる命を懸けた彼らの実力行使である。
 政府はこのような状態を放置できなくなり、地方に号令をかけた結果、二年間、給料「清算の嵐」が吹いたと言われるが、ほんの一部の解決に留まる。
 ようやく一部で民工の組織化が始まったことが報告されているが、民工が中国労働者階級の一員として組織化されることなくして、彼らの地位の根本的な前進はないであろう。総工会(労働組合)は遂に、〇三年全国大会で正式に民工の問題を自分たちの問題として取り上げることを表明したというが、日本の連合と五十歩百歩のレベル以上ではない。
 民工の劣悪な状態は、資本主義社会としての中国の本質を暴露するものであるが、著者はその点を深く追求していない。政府に対し、より前向きな対策を求める社会改良主義者としての立場を超えていないからである。訳者は、これほどの内容の本が発禁扱いされなかったことに驚いているが、不思議ではない。
(PHP研究所刊)


聖火リレーと中国の愛国主義

『海つばめ』 1068号(2008.5.4)「飛耳長目」より

★長野の聖火リレーが終わった。聖火ランナーの前後左右に百人近い警備員が取り囲み、3千人の警察官を繰り出しての厳戒態勢の中で行われた★今回異様に目立ったのは、北京オリンピックを応援する中国の五星紅旗であった。中国人留学生を中心に4千人が沿道に繰り出し、チベット支持者と小競り合いを繰り返した。もともとは中国政府のチベット弾圧への抗議行動が問題になっていたが、この数千人の部隊は五星紅旗を林立させ、人数で抗議行動を威圧するかの様相を呈していた★そしてこの動員を呼びかけたのが、中国大使館であった。2千円の旅費を除く費用を負担するとし、国内の留学生に動員を呼びかけた。「北京がんばれ」、「チベットは中国のもの」「弾圧していない」とアッピールしていたが、それはそのまま中国政府の立場でもあった★こうした過剰ともいえる中国愛国主義は、中国国内の愛国主義の高揚と呼応している。フランスのチベットをめぐる人権発言に対し、「フランスは口を閉じろ」といった議論が巻き起こったり、カルフールへの不買運動が広がった。冷静な対応を呼びかけるニュースキャスターに「民族の裏切り者」といった非難がネットで浴びせかけられた★13億の人口を擁し、“世界の工場”として、政治的経済的強大国として登場し始めた中国にとって、北京五輪の成功には国家の威信がかかっている。そのためには、愛国主義、民族主義が徹底して利用されなくてはならない★日本はもちろん中国の愛国主義、民族主義は今や徹底して反動的なものである。それに対抗できるのは労働者の国際主義のみである。
(山)

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