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マルクス主義同志会機関紙
『海つばめ』

◆隔週日曜日発行/A3版2ページ
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郵政民営化の中で何が起きているのか?
郵政労働者は告発する!

■民営化の嵐の中で最大の御用組合の登場――JPU臨時全国大会議案批判
■郵政民営化――今、職場では/郵政現場からの報告
■恐竜化か、リリパット化か――郵政民営化のジレンマ
■西川善文著『挑戦――日本郵政が目指すもの』/民営化に賭けるトップの本音


憲法改悪と
いかに闘うか?


■改憲に執念燃やす安倍――「国民の自主憲法」幻想を打ち破れ
■労働者は改憲策動といかに闘うか
■国民投票法をどう考えるか
■安倍の「美しい国」幻想――憲法改定にかける野望


本書は何よりも論戦の書であり、その刊行は日和見主義との闘いの一環である。
マルクスが『資本論』で書いていることの本当の意味と内容を知り、その理解を深めるうえでも、さらに『資本論』の解釈をめぐるいくつかの係争問題を解決するうえでも助けとなるだろう。


全国社研社刊、B6判271頁
定価2千円+税・送料290円
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「不破哲三の“唯物史観”と『資本論』曲解』(林 紘義著)」紹介(『海つばめ』第1048号)


全国社研社刊、B6判384頁
定価2千円+税・送料290円
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「天皇制を根底的に論じる『女帝もいらない 天皇制の廃絶を』(林 紘義著)」(『海つばめ』第989号)他

理論誌『プロメテウス』第54号
2010年10月(定価800円)

《特集》菅民主党のイデオロギーと“体質”
・神野直彦の思想と理論――菅直人のブレインは「曲学阿世の徒」
・原則なき寄せ集め政党――顕現するブルジョア的“体質”
反動的な「文化」の擁護に帰着――レヴィ=ストロースの「文化相対主義」批判


 
 
 教育のこれから
   「ゆとり」から「競争」
   そして「愛国教育」で
   いいのか
 林紘義 著 7月1日発売

  (全国社研社刊、定価2千円+税)
  お申し込みは、全国社研社
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まかり通る「偏向教育」、「つくる会」の策動、教育基本法改悪の動きの中で、“教育”とは何であり、いかに行われるべきかを、問いかける。  


 第一章  
教育基本法改悪案の出発点、
森の「教育改革策動」
 第二章  
破綻する「ゆとり」教育の幻想
 第三章  
“朝令暮改”の文科省、
「ゆとり」から「競争原理」へ
 第四章  
ペテンの検定制度と「つくる会」の教科書
 第五章  
歴史的評価なく詭弁とすりかえ
つくる会教科書(06年)の具体的検証
 第六章  
日の丸・君が代の強制と
石原都政の悪行の数々
 第七章  
憲法改悪の“露払い”、教基法改悪策動

●1296号 2017年3月5日
【一面トップ】十億の国有地を二百万で――政権と国家の許されざる権力犯罪
【コラム】飛耳長目
【二面〈主張〉】特別法生前退位の実現――与野党10党全ての協調
【二面トップ】米国と世界はどこへ――トランプの施政方針演説

※『海つばめ』PDF版見本

十億の国有地を二百万で
政権と国家の許されざる権力犯罪

 途方もない、安倍を巡るスキャンダルが発覚した。安倍が肩入れし、安倍の妻が名誉園長を務める、大阪の私立学校森友学園が、小学校を設立する名目で9億5600万円の国有地を事実上わずか200万円で手にしたという、安倍政権や自民の政治家や高級官僚が様々な形で複雑に絡んでいる権力犯罪である。安倍一派の巨大な悪や犯罪を許してはならない。

よくもまあ次から次へと

 私立学校、森友学園の小学校建設の策動は、権力を悪用した、重大犯罪のオンパレードである。

 10億円もの土地がわずか200万で森友学園に払い下げられたのである。

 まずゴミ撤去費用として8億円余が値引きされ、売却価格は1億3400万円にされたが、さらに政府が、森友学園に――何を思ったのか――1億3200万円のゴミ撤去費用を払っているのである。かくして森友学園の土地購入に払う代金は、実質200万円にあいなった次第である。

 そもそも土地の地下かどこかにあるとされた「ゴミ」を撤去するのに、9億円余もかかるはずがない。

 安倍は自分や妻や自民党の政治家や官僚たちが深く関わるこうした事実――許し難い不正、巨大悪、権力犯罪――に対して、何の責任も自覚しておらず、何の反省もなく、自分は知らない、自分は関わりないと白を切るだけである、そういっていれば、実際何ごともなくたちまち過ぎ去る、春の嵐であるかに振る舞い、強大な権力を盾に開き直るだけである。

 ゴミ撤去などほとんど行われなかった事実が、次々と暴露されている。

 まず建物が建っていない部分の土地については、地下のゴミは無視して撤去していいと理事長の籠池が証言している。そしてその部分は3億6000万円だと公言する、つまり8億余のうちの半分近くは、ゴミ処分のために支出されなかったというのだから、籠池の詐欺罪は明瞭である。

 しかも残りのゴミ撤去もまともに行われず、出てきたゴミも「発注元の指示」で、半分ほどを敷地内に埋めてごまかしてしまったという。

要するに、こんなことに9億余りのカネが払われたというのである。

 問題は、こうした、恐るべき利権がらみの詐欺的売買が、いかにして、誰の差し金で行われたのかということである。

 森友学園が13年9月、当該の国有地の取得の意思を表明してから、この4年ほど、理解を絶することが次々と起こっている。

 一昨年の15年1月、大阪府私学審議会が、いったん不許可を出したのがわずかの期間にひっくり返され、認可を適切と認める決定がなされたが、なぜ、いかにして簡単に不認可が認可になったのか。明らかに権力による圧力が丸見えだが、その権力はどこから来たのか、黒幕は大阪維新の橋下か、それとも国政つまり安倍政権の方から来たのか。

 5月には、売却を仕切った財務省近畿財務局と学園との間に、10年以内に売却を約した定期借地契約が正式に結ばれ、国有地は森友学園の手に移ることになったが、その年のうちに、学園は地下にあった廃材や汚染土を除去したとして、その費用1億3170億円の助成金を政府から受け取っている。

 ところが学園側は、昨年3月、地下の深いところから新しいゴミが見付かったと報告し、また「国が撤去していたら小学校開校が遅れる」という口実で、自らの撤去と購買を希望、鑑定価格9億5600万円の土地から、新しく見付かったゴミ撤去費用8億円余を控除した、わずか1億3400万円――しかも10年、分割払い――で購入が決まったという。

 財務省佐川理財局長は、こうした契約を国会で「適正」と強弁したが、こんな明々白々の、恐るべき詐欺まがいのやり方がまかり通ったのはなぜか、財務省の役人であれ、圧力をかけた政治家であれ、こんな途方もない不正の責任は誰にあるのか、それはいかなる動機からなされたのかが問われるのは当然である。

 しかもゴミ撤去は、森友学園の責任でもってやり、一般競争の入札にもかけず、掘削作業もしない、費用の見積もりは、なぜか筋違いの大阪航空局と財務省の相談で決めた――航空局は、財務省の「指示」だったと証言した――というのだから、最初から8億円余のゴミ撤去費用の金額も、森友学園がタダで国有地を手にするという筋書きが決まっていた上での数字であって、実際、ゴミの撤去費用など、ほとんどゼロに等しかったと結論するしかない。

 そして財務省は、森友学園との土地交渉の記録は廃棄して存在しないというのだから悪質で、財務省の責任と犯罪は徹底的に明らかにされなくてはならない。

 学園理事長の籠池は、近畿財務局から、「前向きにやっていく」という言質を得たとも語っている。

 国有地売却に政治家が動いたかどうかは、今のところ暴露されていないが、少なくとも政府機関の財務省が最初から最後まで動き、策動したことは、現時点でも余りに明瞭である。

「関係」した自民党議員現れる

 そうこうしているうち、昨日(3月1日)、国会で共産党の小池が、売却問題で政治家への働きかけた証拠があると安倍を追及し、安倍は、そんなことはない、具体的な証拠もなくそんなことを言うなと、激して答弁した途端――上手の手から水が漏れるのたとえ通り――、その夜、自民党の元閣僚鴻池議員が、自分に働きかけがあったと告白してしまった。

 もちろん彼は、働きかけがあったが即座に拒否し、カネも受け取らず、また学園からの20万円の寄付も返すというが、本当に財務省等々に働きかけなかったかどうかは分からない。

 彼がしなかったというなら、まだ別に、安倍の御機嫌を取りたい、安倍の腰巾着の政治家がいたということか。鴻池は財務省と無関係だというなら、誰が財務省を動かしたのか。そしてまた、財務省や国土交通省や、それらの省の大臣らに責任はないのか。

 安倍政権はこの疑獄事件が浮上した最初の時から、「これは安倍政権の命運にかかわる問題ではない、せいぜい安倍夫人の勇み足程度の問題だ」と予防線を張り、追及する勢力に圧力をかけ続けてきた。

 安倍も誰も何も言わないうちから、森友学園事件に自分が関与したことは全くない、土地売買に関係していたら議員も首相も辞めると大見得を切ったが、しかし関係したことはないと、どうして言えるのか。安倍自身が直接に関係しないからといって、首相であり、自民党総裁としての責任はどこに行ったのか、また安倍夫妻が森友学園と極めて親密な♀ヨ係にあったという事実はどうするのか。

 とりわけ陰湿な悪党である菅も、近畿財務局の、つまり財務省の対応には、「著しい弊害があれば見直す必要があるが、そこについては何もなかった」などと虚偽の発言をしたが、ただこれだけでも安倍政権の責任は重大である。

 安倍政権の言動は最初から、学園を巡る疑獄を否定し、学園の土地取得も正当であり、それを可能にした財務省も正しかったと、その犯罪を正当化し、擁護することでしかなかった。

 10億もの国有地を安倍の肝いりの資本(穀潰しの私立学校)に、たった200万で売り渡したこと自体、安倍政権と国家の恐るべき犯罪でないとしたら、一体ほかに、どんな権力犯罪があるというのか。

 安倍は関係者の国会招致にも頑強に反対しているが、自ら無罪で無関係というなら、何のために籠池や財務省の関係者や、大阪府の私学審議会の責任者等々を国会に呼んで、真実を明らかにするのに反対するのか、そんなことをしたら、自らの関与と有罪を自ら白状することになるが、それでいいのか。それとも関係者を呼び出して、真実の一端でも語られるよりも、疑惑を疑惑のまま闇から闇に葬る方が好都合だと判断するのか、それほどに真実を恐れるとは、この疑獄事件はどんなに奥が深いのか。

今こそ安倍政権を打倒せよ

 権力を悪用して国有地を取得する犯罪、悪徳の支配した国有地払い下げの歴史は明治時代の初めからいくらでもあって珍しいものではないとしても、今回ほどに、阿漕で醜悪な商売に手を染め、国有財産の収奪を図ったようなブルジョアや、それに手を貸した権力者や政治家は多くはないと言うべきであろう。かつての三井財閥や、安倍の同郷である維新の英雄政治家も顔色なしである。

 そして呆れたことに、野党――民進党や共産党――や市民派は、こんな途方もない安倍の悪徳政治が露見しているのに、デモ一つ組織しようとしないし、労働者、勤労者の怒りを組織して、原発の時や、彼らが「戦争法」と呼んだ安保法の時のように、国会に押しかける闘い一つさえ呼びかけようともしていない。

 おかしいではないのか。今こそ、安倍政権を打倒する絶好の機会だというのに、である。まるで安倍政権が続いても、労働者、勤労者にとって何の禍(わざわい)もないかである、国家主義、軍国主義の国家作りがどんどん進んでもいいかに、である。

 安保法の時には、安倍はいくらでも、それを正当化する理屈を持っていた。日本のための法案、日本の安全ための法案である、等々。しかし国有地売却に関する不正で、安倍は、虚偽発言を繰り返し、事実を隠蔽し、強がりを言う以外、自らを正当化し、弁護するどんな口実もないのである、それなのに、まるで共産党や民進党や市民派は、安倍政権を粉砕し、一掃する意思も意図もないかに、闘う気迫もなく、そんな絶好の機会がやってきているに鈍感や無気力を決め込み、日和見主義的に振る舞っている。労働者、勤労者に対する裏切り以外ではない。

 原発や安保法の問題も、すべての国民に関係する、人道的な問題と考え、真剣な政治的な対決と闘いの問題と考えてこなかった、そして抽象的な平和願望とか、核エネルギーの恐怖とかいった形でしか問題を立て、評価してこなかった、共産党や市民派の無力といい加減さと破産を暴露して余りある、そんな立場では平和さえ――どんな平和か、資本の奴隷の平和ではないかは問わないとしても――守ることさえできないことを、彼らは知らないのである。

 まさに森友学園を巡る不潔な疑獄℃膜盾ヘ、安倍政権の醜悪さと反動性を特徴的かつ典型的に暴露する、安倍政権の、安倍夫婦のスキャンダル、さらには政権と官僚の役職悪用や贈収賄等々の犯罪でさえあり、したがってまた安倍政権粉砕の絶好の時である。労働者、勤労者は、若者は、今こそ立ち上がるべき時ではないか。

   

【飛耳長目】

★議員選挙で、候補者を男女同数にする法案が、今国会で成立するという。しかしいかなる候補者を選出するかは、政党の自由が原則で、男女同数にせよ、などいうのは矮小な小手先細工で、現行選挙制度の悪質な非民主性や不公正や差別等々の根源をつくものではない★むしろ差別をなくすというなら、政党の選挙参加の平等性を妨げ、金持ち政党、大政党に猛烈に有利な小選挙区制とか、供託金制度とか、政党助成金制度等々を直ちに廃止し、その後で、男女平等の話にでも取りかかればいい。男女平等の話から始めるのは、金持ち政党、大政党の利己的で、腹黒い、目くらまし策動ではないのか★男女平等の候補者云々なら、いっそ、階級別のクォーター制でも採用したらいかがか。フランス革命期の議会(それ以前からあったものだが)は、僧侶、貴族、平民からなる階級別(身分別)の議会があったし(だから「三部会」と呼ばれた)、帝政期ロシアには、貴族・地主何名、ブルジョア何名、農民何名、労働者何名といった割当制の制度もあった。ロシア社会民主党は(ボリシェヴィキ派もメンシェヴィキ派も)、この制度を利用して国会に議員を何名も送り込んだ。似たものは多くの国にあった★むしろ労働者党は、こうした制度こそ歓迎し、ブルジョアに突きつけるが、彼らは決して応じないだろう、賃労働者が圧倒的に多数を占めることは明らかだからである。(鵬)

   
   

【主張】

特別法生前退位の実現
与野党10党全ての協調

 与野党のすべての党派――共産党も含めた10の党派――が汚い雁首を揃えて、「皇位継承の安定」で意思の一致を図ろうとしている。めでたく安倍政権の思惑通り、特別法による明仁の退位が実現するというわけである。

 もちろん労働者には、生前退位を憲法と皇室典範にそって厳密に≠竄驍ゥ、特別法でいい加減にやるか云々はどうでもいいことだ。

 しかし安倍政権が自らの都合で、憲法や皇室典範を無視し、特例法によってやろうとするなら、安倍政権の卑しい意図や企みを暴露して――また天皇制の反動性やその政治闘争における役割を明らかにして――最後まで闘い抜くことは、労働者党の神聖な任務であり、義務ではないのか。

 しかし民進は勿論、共産も自民党と安倍政権に追随し、安倍政権の思惑の中で協調遊戯にふけっている。

 民進や共産の「反対」や「抵抗」も形だけのもので、ここでは、野党のすべての党派もまた、与党のたいこもち政党、体制派政党であることが暴露されている。

 民・共は天皇制擁護に転じたが、敗戦後の象徴天皇制は隠された絶対天皇制≠ナあり、戦後民主体制、憲法体制の本性を、それが根底からインチキであり、むしろ差別体制≠サのもの――階級対立を根底に置く体制――であることを象徴的に*\露している。

 民・共も、天皇制を支持することによって、資本による差別体制≠、何千万もの労働者、勤労者に対する大規模な搾取体制を容認し、絶対化さえするのである。

 今や天皇制支持に転向した共産は、天皇の「御宸襟を悩ます」ことを畏れ多いと感じてか、原則をねじ曲げてでも、安倍のご都合主義に寄り添うが、それは果たして天皇に対して畏れ多い振る舞いではないのか。

 憲法がその冒頭で天皇制を謳っている事実は、憲法が根底から差別主義的′尠@であり、憲法自身が他の箇所で謳っている、国民を差別してはならない――とりわけ出生とか血筋とか身分によって――という精神に露骨に背くのである。

 そして今や天皇制も資本の支配もすべて承認し、その軍門に下った共産党はまた、ブルジョア政党や半ブルジョア政党と平気で手を組み、天皇制の維持と恒久化のためにせっせと働き、協力を惜しまないのである。

 野党が安倍政権に追随するために投げられる餌は、女性宮家を創設するとか、将来いつの日にか、「天皇退位の法的整備」をするとかいった空約束だが、そんなものが仮に実現したとしても、天皇制がほんのわずかでも揺るぐこともないし、また実現するのもいつのことか分からない。

 生前退位における与野党完全共闘≠フ成立は、日本の政治闘争の本質的特徴を、つまり「オール与党化」の現実を暴露した。

 「オール与党化」批判は2、3年前まで共産の決まり文句であったが、共産が「政治闘争の偉大な歴史的進化」を勝ち取って、かつて否定した、「オール与党化」路線に転換したため、すでに忘れ去られようとしている。

 しかし天皇制反対闘争における共産の路線転換は、ブルジョア協調路線への転換、ブルジョア的堕落の究極の到達点に過ぎないことを暴露した。彼らの堕落は、今後ますます深化し、闘いのありとあらゆる場面で露出してくるであろう。

 労働者、勤労者の諸君、民進のみならず、共産の裏切りにも警戒せよ、そしてそんなものを許すなら、自分たちの闘いは解体し、敗北するしかないことを確認せよ。

   

米国と世界はどこへ
トランプの施政方針演説

 2月28日、トランプは議会において、「施政方針演説」を行い、改めて「米国第一主義」を叫んだが、世界の最強国の大統領のそんなわめき声は、はたして人類の未来にどんな影響を及ぼすのだろうか、ブルジョア世界をカオスのちまたに変えないであろうか。自国第一主義や国家主義や国家エゴイズムは、米国のみならず世界中に広がっているが、それは世界的な紛争や対立、大規模な戦争の時代の幕開けを告げ知らせるものではないだろうか。トランプの米国との「固い同盟」を目指す、安倍政権はどこへ行こうというのか、自国第一主義を掲げて、トランプとどんな関係を築くというのか。

 トランプは「いま米国の偉大さの新たな章が始まっている」、「今日、目にしているのは、『米国精神の再生』である」と米国第一主義を喝破してやまない。

 しかし世界の最強国の米国が、自国第一主義を唱え、また実践するなら、世界中の国家は、また「世界の中心で輝く日本」等々、自国本位、自国第一主義で4年間やってきた安倍は、いかに米国と付き合い、対応するのか。

 自国第一主義だけでは、自国第一主義者同士では、事ごとに相互に対立し、角を突き合わせ、たちまち行き詰まるのは目に見えている。

 安倍政権はトランプの米国と強固な同盟関係を築くというが、強大国の米国と弱小国の日本では――日本は経済規模でせいぜい米国の数分の1、軍事力では10分の1ほどにすぎない――、対等の%ッ盟関係は成り立たず、相互に自国第一主義に忠実たろうとするなら、米国のそれがまかり通り、安倍はすごすごと引き下がることにならない保障は何もない。そんな日米同盟は、安倍政権にとって奴隷の%ッ盟にしかなりようがない。

 トランプの強がりや米国第一主義には、深刻な被害妄想意識が沈殿し、こびりついている。

 米国は無関税で外国の商品を受け入れているが、外国は保護主義で米国の商品を閉め出している、自国の産業のために保護主義が必要であるとトランプはいうが、米国もまた、中国市場に進出し、資本を投下し、多くの商品を売っている。

 トランプは、米国は「余りに長きにわたり、雇用や富が外国に流れ、国内の中間層が縮小するのを目の当たりにしてきた」というが、実際には、米国は、第二次世界大戦後、ドル体制によって世界を収奪し、また産業資本を世界に投下し、あるいは金融資本の覇権によって世界を搾取し――今もそうすることによって――、豊かな国を、したがってまたぶ厚い中間層≠ネるものを抱えてきたのであって、外国の搾取によって、富や雇用が失われたといった被害妄想は、ただ米国の特権的な地位が危うくなってきたことからくる危機意識の表現でしかない。

 米国の恒常的な貿易赤字は――あるいは国家財政の赤字もまた――、米国が世界を搾取してきた証拠のようなものであって、米国はドルを世界に垂れ流し、そのことによって売ることなく買うことが可能となり、世界に冠たる豊かな消費国家≠享受し、楽しむことができたのである。

 しかも外国に貯め込まれたドルは、米国のドル安が進行すると共に、いくらでも減価したのであり――つまりドル債務は絶えず目減りし、実質的に縮小して、米国が返済しなくてはならない負担は何分の1にも軽減され――、米国の不当な収奪は止むことがなかったのである。

 トランプは米国第一主義によって、「米国を真に偉大にすることができる」と扇動しているが、しかし保護主義や鎖国主義、バイ・アメリカン政策や国内投資主義が、米国を「偉大」にすることはできないだろう、というのは、国内外の資本がいくら米国本土に投下されても、それが利潤をもたらさないなら、そんな資本はムダな投資となるしかなく、米国をますます追い詰め、衰退させるだけだからである。

 そして米国の先端資本はまさに世界中に進出することで、膨大な利益を上げているのだが、そんな資本を国内で投資し、国内で売れといって、その自由な運動を妨害するなら、間違いなく米国は急速に衰退していくしかない。

 また「職を奪うTPPから米国を撤退させた」と手柄顔をするのだが、しかしTPPによって米国の労働者の「職を奪う」などというのはほとんどデマゴギーのたぐいでしかなく、TPP離脱によって、あるいはNAFTA(米国とカナダとメキシコによる北米自由貿易協定)の解体等々によって、米国の経済にむしろマイナスをこうむるだろう。

 トランプの理屈は論理的でなく詭弁である。

 「NAFTAが承認されてから、製造業の雇用の4分の1以上を失いました。そして中国が2001年に世界貿易機構(WTO)に加わってからも、6万の工場を失った。昨年の世界に対する私達の貿易赤字は8千億ドル(約100兆円)に達しました」

 米国の製造業が後退したのはNAFTAのためといった、単純な問題でないのは、米国の工場が6万減ったのが、中国がWTOに加盟したためと簡単に言えないのと同様である。

 実際には、米国は中国の経済開放≠ノよって、膨大な市場と資本投下の領域を確保し、また中国の安価な商品を輸入することで、計り知れない経済的な利益を手にしてきたのである。

 トランプは、国内の投資を、とりわけインフラ投資を重視し、雇用も確保するというが、それはかつて権力を握ったヒトラーが、あるいは最近は安倍が政権への支持を集め、持続させようとして採用する、国家の大規模な公共支出のことである。

 もちろんそんな政策は財政の大膨張なくしてやれないが、大減税を企業にも国民にも気前よくやろうというトランプは矛盾するしかなく、ただ米国を借金国家に逆戻りさせ、国家の一層の頽廃と寄生化と弱体化に行き着くしかないのである。

 そしてトランプは、米国が今後、世界のリーダーとして振る舞うのは止めるかにいうのだが、果たしてそれは本心からのものであろうか。

 トランプは、EUや日本に対して、露骨にトランプの従属国として扱い、政治的、経済的、軍事的に圧力をかけようとしており、すでにそうしている。

 トランプの意に沿わない国家に対しては、断固として闘うと宣言し、北朝鮮には軍事的行動も辞さないとすでに脅迫しているし、中国の為替相場の操作は許さないとすごんでもいる。

 つまり米国第一主義とは、アメリカが孤立主義に引きこもることを意味するどころか、反対に、ますます世界に向かって米国第一主義で立ち向かうということ、しかもそんなことが、世界中がトランプの米国に追随し、屈従するまで止まないということを意味しかねないのである。

 そして安倍はトランプとの「同盟」のみが日本の救いであり、安全だと叫ぶが、しかしそれはただ日本が、トランプの米国の従属国家、半奴隷国家に転落することによってのみ可能であり、現実的であるということを、安倍は知らないのである。

 トランプの「米国第一主義」の極めつきの宣言は、以下のようなものである。

「私の仕事は、世界を代表することではなく、アメリカ合衆国を代表することだ」

 トランプは、「米国精神の再生を心から支持するようにお願いします」と言って、その演説を終えたのだが、彼の再生を願うという「米国精神」とはどんなものなのかは全く不分明のままである。それは安倍らの言う「日本の伝統」とか「文化」といったものが何なのか、さっぱり要領を得ないのと同様である。

 トランプの特徴的な経済政策を二つあげれば、一方では国内における、巨額なインフラ投資であり、他方では、国外に対する、米国第一主義の突撃路線である。この両者は一体いかなる形で行われ、調和を保って行くのであろうか。

 トランプは1兆ドルのインフラ投資を再び謳ったので、米国の株価は急騰したばかりではない、世界中の、したがってまた日本のブルジョアや政府も、そこに巨大な需要が生じると期待するのである。

 1兆ドルといえば、今の為替相場でいって113兆円であり、それがいかに巨大であるかは、日本の17年度予算における公共事業費が6兆円でしかないことを見れば明らかである。

 トランプは日本の政府と同様に、財源の見通しもないままに、そんなアドバルーンを上げるのである。しかも彼は6兆円もの軍事費の膨張も口にしているし、他方では法人税や所得税の大幅な減税も公約している。

 一見して、これらの矛盾した要求のつじつまをどこで合わせるかは、誰も分からない。もちろん借金を一気に増やしていくなら、こうした困難や矛盾は一気に解消されるが、しかしそれはまた財政破綻の危機という新しい、別個の形を取った困難を呼び寄せるだけ、困難を別の形にして先送りするだけである。

 そしてトランプとトランプ政府は、外国との経済関係や¬貿易のあり方は米国にとって不利であり、不公正、不正義に満ち満ちているとして、彼らと闘うのに手段も選ばないし、必ずしも世界のルール――WTOが米国に押し付けて来るなら――も守らないばかりか、それと断固闘うと息巻くのである。

 中国や日本が不正な通貨安政策を取り、米国に輸入超過の犠牲を背負わせ、米国の利益を損なうなら、米国もまた保護主義や通貨安政策等々によって闘うのであり、米国第一主義を貫徹すると息巻くのである。

 もちろん米国第一主義は当然、他国の自国第一主義を誘発し、挑発するのであり、世界中の国家がみな自国第一主義に走るなら、世界経済の分裂と対立、保護主義と通貨切り下げ競争の勃発、諸国家の無政府的な競争の激化と自国の矛盾や困難の他国への転嫁であり、世界経済は混沌としたカオスに陥り、貿易戦争が始まり、正常な経済関係は縮小し、失われるが、それはとりもなおさず、世界市場の崩壊と消失であり、パニックと恐慌の発展と深化であり、1920年代、30年代の再現であり、国家主義や帝国主義の発展である。

 かくしてトランプの登場に直面してただ一つ言えることは、トランプや安倍や習やプーチンが導く世界が、労働者、勤労者の闘いによって妨げられ、粉砕されないなら、危険な方向に向かって、小石が坂道を転がり落ちるように急速度で転がって行かないという保障は何もない。

   
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