MCGトップページ E-メール


マルクス主義同志会機関紙
『海つばめ』

◆隔週日曜日発行/A3版2ページ
一部50円(税込み54円)

定期購読料(送料込み)1年分
  開封 2000円
  密封 2500円

ご希望の方には、見本紙を1ヶ月間無料送付いたします。

◆電子版(テキストファイル)
メールに添付して送付します

定期購読料1年分
 電子版のみ 300円

 A3版とのセット購読
  開封 2200円
  密封 2700円

●お申し込みは、全国社研社または各支部・会員まで。
E-メールでのお申し込みもできます。



郵政民営化の中で何が起きているのか?
郵政労働者は告発する!

■民営化の嵐の中で最大の御用組合の登場――JPU臨時全国大会議案批判
■郵政民営化――今、職場では/郵政現場からの報告
■恐竜化か、リリパット化か――郵政民営化のジレンマ
■西川善文著『挑戦――日本郵政が目指すもの』/民営化に賭けるトップの本音


憲法改悪と
いかに闘うか?


■改憲に執念燃やす安倍――「国民の自主憲法」幻想を打ち破れ
■労働者は改憲策動といかに闘うか
■国民投票法をどう考えるか
■安倍の「美しい国」幻想――憲法改定にかける野望


本書は何よりも論戦の書であり、その刊行は日和見主義との闘いの一環である。
マルクスが『資本論』で書いていることの本当の意味と内容を知り、その理解を深めるうえでも、さらに『資本論』の解釈をめぐるいくつかの係争問題を解決するうえでも助けとなるだろう。


全国社研社刊、B6判271頁
定価2千円+税・送料290円
●お申し込みは、全国社研社
または各支部・会員まで。
E-メールでのお申し込みもできます。
「不破哲三の“唯物史観”と『資本論』曲解』(林 紘義著)」紹介(『海つばめ』第1048号)


全国社研社刊、B6判384頁
定価2千円+税・送料290円
●お申し込みは、全国社研社
または各支部・会員まで。
E-メールでのお申し込みもできます。
「天皇制を根底的に論じる『女帝もいらない 天皇制の廃絶を』(林 紘義著)」(『海つばめ』第989号)他

理論誌『プロメテウス』第54号
2010年10月(定価800円)

《特集》菅民主党のイデオロギーと“体質”
・神野直彦の思想と理論――菅直人のブレインは「曲学阿世の徒」
・原則なき寄せ集め政党――顕現するブルジョア的“体質”
反動的な「文化」の擁護に帰着――レヴィ=ストロースの「文化相対主義」批判


 
 
 教育のこれから
   「ゆとり」から「競争」
   そして「愛国教育」で
   いいのか
 林紘義 著 7月1日発売

  (全国社研社刊、定価2千円+税)
  お申し込みは、全国社研社
  または各支部・会員まで。
  メールでの申し込みも可能です。

まかり通る「偏向教育」、「つくる会」の策動、教育基本法改悪の動きの中で、“教育”とは何であり、いかに行われるべきかを、問いかける。  


 第一章  
教育基本法改悪案の出発点、
森の「教育改革策動」
 第二章  
破綻する「ゆとり」教育の幻想
 第三章  
“朝令暮改”の文科省、
「ゆとり」から「競争原理」へ
 第四章  
ペテンの検定制度と「つくる会」の教科書
 第五章  
歴史的評価なく詭弁とすりかえ
つくる会教科書(06年)の具体的検証
 第六章  
日の丸・君が代の強制と
石原都政の悪行の数々
 第七章  
憲法改悪の“露払い”、教基法改悪策動

●1289号 2016年11月20日
【一面トップ】トランプ勝利の教えるもの――資本の体制は歴史的危機の時代へ
【コラム】飛耳長目
【二面〈主張〉】クリントンの敗因――女性主義≠ヘ労働者に訴えず
【二面トップ】 志位・幻想の野党共闘(上)――闘いはバーターの問題ではない
【二面サブ】春闘賃上げで安倍が新しい理屈
【二面囲み】「土人」発言を弁護する産経――詭弁弄しすり替えを策す

※『海つばめ』PDF版見本

トランプ勝利の教えるもの
資本の体制は歴史的危機の時代へ

 アメリカ政治史上、最低最悪と言われ、嫌われ者同士の対決と言われた大統領選挙が終わり、当初は泡沫候補の一人と見なされたトランプが、多くの人々の予想に反して、共和党の候補者に成り上がっただけでなく、本選挙でも民主党のクリントンに圧勝した。しらけた茶番と思われていたアメリカ大統領選挙が歴史的に重大な意味をもつ選挙に一変したのは、99%の人が「まさか」と思っていた、粗野なブルジョアであり、レイシストでさえあるデマゴギストのトランプが勝利をかっさらったからである。

 「アメリカ第一」、アメリカの国益こそ至上の目的と豪語し、国家主義、保護主義を臆面もなく口にし、排外主義や移民排除や人種差別を公然と謳う政治家が、アジアの途上国や中南米や、否、EUのあれこれの諸国家ではなく、世界の最も強大で、ブルジョア社会の支柱である超¢蜊曹フ権力を握ったことの歴史的な意義と意味はきわめて重要であり、人類の近未来を左右するとさえいえるだろう。

 しかしアメリカにおけるトランプ現象≠ヘ決して目新しいものでも、偶然的なものでもなく、21世紀と共に、資本主義全体の、とりわけ資本主義の先行諸国における、資本の過剰、行き詰まり、長期的な経済の停滞や衰退、いくつかの新興国≠フ台頭、そしてまさに地球規模の°」争戦の激化の中で、欧州諸国や日本や、ロシアや中国などを中心にはびこってきた「自国第一主義」や国家主義や民族主義、そして帝国主義や排外主義さえもの傾向の集中的で、決定的な表現であり、その行き着いた到達点であった。

 こうした傾向は、歴史的にまさに没落期≠ノ達した資本主義にとって必然的であり、驚くべきことは何もないが、しかしそれがアメリカという、いわば現代資本主義を象徴する、その牙城ともいえる国家においていわば唐突に、思いもかけず勝利したということは、ある意味で驚くべきことであった。というのは、それはアメリカが超¢蜊曹ゥら、例えばフィリピンなどと同等の国家、並みの″痩ニに転落したに等しいからである。

 アメリカのブルジョアジーは、つまり巷(ちまた)のいうところの「エスタブリッシュメント」(支配階級、とりわけ既存の=Aあるいは伝統的な℃x配階級)は、自分の階級から飛び出してきた鬼っ子に愕然とし、驚愕したのだが、トランプを阻止することも、まともに対抗することもできず、政府権力を譲り渡し、今やトランプがアメリカを、さらには世界中のブルジョアをどこに導いていくかも分からず、茫然自失してなすすべを知らないかである。

 そして呆然としているのは、既存の<uルジョア勢力だけでなく、「野党」の名ではびこる自由主義的批判派、反対派や改革派(サンダース派ら)、市民派、民主主義的♂良派(共産党など。しかし彼等はむしろスターリン主義派と、今なお呼んだ方が正当かもしれない)も同様である。

 というのは、彼等もまた「エスタブリッシュメント、既存支配層=vの体制の中に包摂≠ウれ、取り込まれ、それらと熔融して、その深い矛盾も行き詰まりも理解しないで――できないで――その中で安逸をむさぼってきただけだったからである。

 トランプは自由貿易に反対し、保護貿易に味方して現れた。もちろんそれはトランプにとってさえデマゴギー政治そのものではあったが、しかしそれはアメリカの反動派や民族主義者や自由貿易で追い詰められる小ブルジョアや、移民流入で特権的な地位を脅かされる白人ばかりではなく、一部の、しかも広汎な労働者に訴えたのであった。そして白人労働者が自由貿易や移民によって、その地位やこれまでの安定した=A優雅な生活が、脅かされていると感じている場合には、二重、三重の意味で、トランプのデマゴギーは一層強く、彼等の心を揺さぶったのである。

 トランプの勝敗を決定したのが、rust(錆び付いた)地帯と呼ばれるようになった北中部のかつての″H業地帯、自動車や鉄鋼業で栄えた地帯であったのは偶然ではない。

 トランプが最終的に勝利し得たのは、伝統的な&ロ守的、ブルジョア的階級の、つまり共和党の本来の℃x持層に加えて、北中部の労働者地帯、アメリカの製造業が自由貿易≠ノよって後退し、経済的地位と覇権が失われ、衰退していった地方で、つまり決戦の行方を最後に決定したペンシルバニアとかオハイオとかウィスコンシン等々で、一部の労働者層――マスコミで「中産階級」と、故意に間違って呼ばれている層――の支持を民主党から奪い取ったからであった。

 トランプは、日本がアメリカの牛肉に38%もの関税をかけているなら、日本からの(あるいは似たようなものだが、メキシコからの)自動車の輸入にも38%の関税をかけよと絶叫したのだが、そうした扇動は果たして、外国から流れ込む大量の自動車によって、労働条件を急速に悪化させ、あるいは仕事を失っていくアメリカの窮乏化する労働者の心に響かなかったであろうか。

 それをデマゴギーである、結局は自由貿易は労働者階級にとっても利益であると誰か仮に言ったとしても、そして仮に小利口な<Nリントンもそう信じていても、そんなことは決して口にしなかった、というのは、そんなことを言ったら、北中部の労働者の支持は決して得られないと信じたから、そして勝つためには、保護主義を呼号するサンダ―スやトランプに対抗して、自分もまた保護主義色に染まるしかないと考えたからである。

 それがクリントンにとって果たして賢明な選択であったかどうかは我々の知ったことではないが、しかし労働者はそんなクリントンを決して信用しなかったことだけは、そしてクリントンをむしろ誠実でも、まじめでもない、富裕層≠竍既存支配層≠ノ属する、ありきたりの権力政治家の一人に数え入れたことだけは確かであった。

 そしてまた「ガラスの天井」の突破を押し出し、それに固執したクリントンの立場もまた、広汎な労働者にとっては、それが既存支配層≠フものであり、クリントンのようなブルジョア的な女性の立場の表明であるとしか映らなかったのであり、多くの貧しい、そして女性労働者の反感さえ買ったのである。

 「移民」についても同様である。

 トランプは、不法移民について卑しい中傷にふけるが、彼らの労働力無くして、アメリカ経済のいくばくかの「成長」も「繁栄」もなく、その大部分が失われるのだが、それは例えば中国やフィリピン等々からの急増する「研修生」なくして、日本の製造業や農水産業でさえもたちまち深刻な危機を迎え、安倍のいう「経済成長」もまた危うくなりかねないのと同様である。

 安い賃金で働く移民や外国労働者(つまりは1000万人を越えるといわれる不法移民)が増えていくのは、ブルジョアたちが国際的な競争が激化する中、労働者の賃金を下げなくては――そして、下げ得ないのなら、多くの移民や外国人を低賃金で働かせ、過度に搾取しないならば――、自ら破綻するしかないからであって、移民や外国労働者を排除すればすむという問題ではない。それは根本的に資本間の競争と、労働の搾取体制の問題である。

 むしろ既存の労働者は一面では、移民ら外国から遅れて来た労働者が過度に搾取されることによって、彼等の地位が何とか守られてきたとさえいえるのである。

だがブルジョアや、したがってトランプは、白人労働者の低賃金や失業が資本の搾取体制にあるのではなく、外国の労働者や外国の安価な商品のためであるかに偽るのであり、そんなデマゴギーによって、労働者が没落するのはブルジョアの責任ではないと、労働者の怒りが自分たちとその支配体制や搾取に及んでくるのを回避するのであり、労働者相互の問題にすりかえるのである。

 トランプの勝利の秘密は、共和党の伝統的な&ロ守的支持層を失うことなく――その上層部はともかく(彼等はもともとTPPには、民主党以上に賛成であった)――北中部のラスト地域の労働者、つまり彼等はかつての栄光のアメリカ資本主義を代表する、しかも保護主義を支持するような、寄生的で特権的労働者、ブルジョア的労働運動の担い手の支持を勝ち得たからであったが、それは、偽りの統一戦線に結集する日本の野党(民・共)が、先の参院選で、TPPに反発する農民層、保守層の支持を得た限りで善戦し得たのと同様であった。

 「中産階級」が没落し、「アメリカンドリーム」が失われてしまった人々がトランプ支持に転向したことが、トランプ勝利のカギを握ったといえるが、ここでいわれる「中産階級」とは、概念的には「中産階級」ではなく、アメリカの栄光を担った、広汎な労働者階級であったが、問題は今やこうした階級がアメリカでは(いくつかの先進資本主義国でも)過去のものとなり、没落に瀕していることである。

 大戦後、アメリカはますます保護主義的にふるまうようになり、産業資本の後退を、つまり経済の根底の空洞化と寄生化を強め、ドル支配や金融覇権によって、あるいはその時々の先端産業の先頭を走ることによって、資本主義世界の支柱、盟主として存在し、頽廃や腐朽性を深かめながらもその地位を保ってきたが、今や遂にその地位を降りようとしているのであり、それを「象徴」するものこそ、「アメリカの内向き姿勢」であり、保護主義への固執である。

 アメリカが資本主義の中心、支柱であり、盟主であった時代の終焉の始まりを、トランプは代表するのであり、アメリカがそれこそ普通の″痩ニに転落したことの象徴である。

 トランプのアメリカが(似たようなものだが、安倍の日本が)、かつてのナチスドイツのような、あるいは天皇制軍部のようなファシズム的国家に転化し、行き着くのか、そしてトランプや安倍の権力は、そんな国家の出発点、走りにすぎないのかは、今のところ結論を出すことはできない。

 それには多くの歴史的な契機が、とりわけ階級闘争の契機が、世界の労働者階級がいかに闘うことができるかどうかが関係し、重要で、決定的な意味を持つだろうと――20世紀においても、そうであったと同様に――言えるだけである。

 トランプの勝利は、再び20世紀半ばの、人類史的な暗黒と悲劇であり、不幸であり、下手をすれば人類全体の奴隷化や破滅の危機さえも現実となった時代が再びあり得ないことでないことを示唆している。

 (マルクス主義同志会のホームページに、トランプ勝利の直後に書かれた、トランプ勝利の意味についての評論が掲載されていますので共に参照して下さい)

   

【飛耳長目】

★リオの五輪が終わったばかりだというのに、日本は下品な五輪饗宴のバカ騒ぎだ。籾井のNHKは、五輪前年の大河ドラマで五輪物語をやるという★8千億円がたちまち3兆円に膨れあがった五輪予算や利権に関係企業が群がり、政治家が絡んでカネが乱れ飛ぼうとしている。国庫が破産し、余分なカネなどどこにもないのに、巨額の無駄遣いが大手を振ってまかり通り、なお悪いことに、そんな無駄金のバラまきが景気や「経済成長」にきわめて有効だと、リフレ派的妄想がふりまかれている★ギリシャは五輪を派手に行った後、それを一つのきっかけとして、財政崩壊から国家崩壊の道をたどったが、そんな事実に、安倍や森や小池らは知らんふりだ。国家の支援を受けるスポーツエリート(すでに転落者さえ出している)や関係者らは、カネがかかろうが、立派な施設でなければ金メダルも得られないかの発言をする★膨れあがった五輪予算をいくらか削らないと国民の不満が爆発すると、会場変更による予算縮小を図るというが、最大440億程度、3兆円に対し雀の涙のふざけた「経費節減」の茶番劇にすぎない★安倍政権は五輪強行で、国家主義をあおり、政権の求心力を高めようと必死だが、安倍の「原発事故汚染水はない」という虚偽発言から始まり、賄賂、国立競技場、ロゴ問題などすでに悪臭紛々、汚れた東京五輪は直ちに返上すべきである。(鵬)

   
   

【主張】

クリントンの敗因
女性主義≠ヘ労働者に訴えず

 あらゆる要因がクリントンの優位を語っていたにもかかわらず、彼女が敗北した原因は何だったのか。

 彼女は、FRBが謀略的に投票日の直前、メール問題を持ちだしたからだと言うが、何も分かっていない。

 メール問題は副次的なものであって、そんなものによって敗北したというなら、そんな小手先の妨害を吹き飛ばすことができなかった支持勢力の弱さをこそ反省すべきではないのか。

 そしてまた彼女は、トランプやサンダースが、TPP反対を唱え、衰退産業の労働者の支持をさらおうと策動するのを見て、自らの信念に反して、TPP反対に転向したが、そんな誠実さの欠如や政治屋的振る舞いもまた敗北につながったことを理解していない。

 さらに「ガラスの天井」の粉砕を押し出し、それ固執したこともまた、重大な敗因の一つではなかったか。

 クリントンが選挙中に最も力を入れて訴えたことは、「ガラスの天井」を破るということ、つまり女性差別≠フ一掃であった。彼女はこのことを選挙戦の最初から強調し、投票の前日にも叫び、また最後の集会場に選んだ場所も、天井がガラス張りであった。

 そして敗北した翌日、「敗北宣言」の中で、「最も高く、硬いガラスの天井は破られていないが、いつか、誰かが突破する」と、何か女性大統領が誕生しなかったことが一番の問題であるかに語ったのである。

 しかし広汎な労働者にとって、ある種の女性主義≠ェ既存支配層≠フ観念であり、クリントンのようなブルジョア的な女性の立場の表明でしかないことを、多くの貧しい労働者、とりわけ女性労働者の多くが反発し、反感さえ買ったからこそ、彼女への支持は伸びなかったのである。

 広汎な労働者、勤労者の女性は、クリントンの大統領就任が、女性の差別一掃や真実の解放――それはもちろん最終的には、資本の支配の廃絶とともにあるし、あるしかないのだが――とほとんど無関係であること、彼女が固執した、「高い天井」の破砕といったものが、ブルジョア的支配層の女性、資本の支配する社会で上昇しようとするエリート女性にとってのみ切実な課題であり、彼女たちのひとりよがりであって、女性労働者にとって二義的な課題でしかないことをよく知っていたのである。

 他方、クリントンはブルジョア女性、エリート女性の上昇志向≠ノついてはよく知っていたが――というのはそれが大統領の地位に執着したことに見られるように、彼女自身の本性でもあったから――、資本主義的競争の中で没落を強いられ、あるいは資本の搾取に苦悩する多くの労働者のことについては全く理解しておらず、TPP賛成から反対に、ご都合主義的に、表面だけ転じることで処理≠キれば障害とはならないと安易に考えたのであり、かくしてその足もとをトランプに見事にすくわれたのだが、もちろんその反省はクリントンには皆無であって、敗北後も相変わらず、お為ごかしの発言に終始している。

 少なくとも、トランプは「聖域無き自由化」を謳って出発したTPPの欺瞞性について語ったのだが、それはTPPの、つまり無原則で、無政府的な運動として貫徹する自由貿易≠ノよって苦しんでいる、一部の労働者大衆に強力にアッピールしたのであるが、それは自由貿易によって追い詰められる労働者に、既存支配層≠ェどんな解決策も救いの手も差し伸べなかったし、しようともしなかったからであり、かくして労働者がトランプのデマゴギーに取り込まれる≠フは一つの必然であった。

   

志位・幻想の野党共闘(上)
闘いはバーターの問題ではない

 来たるべき総選挙にむけて、共産党は「必勝を期して」野党共闘路線を追求している。この戦術≠ノは志位のメンツと地位がかかっているがゆえに、彼も必死である。しかし彼のこうした戦術≠ヘ果たして成功するだろうか、勝利する展望があるだろうか。それが問題である。

 すでに共産党は、17の選挙区の名前まで明らかにして、そこでは野党共闘の候補者として共産党が出馬するから、民進党もそれを認めて応援せよ、二百数十の他の小選挙区では、共産党の票は民進党のものとなるだろうと誘っている。

 果たしてそれは民進党にも共産党に共に得となるばかりではない、共産党にとっても、党の戦略を次々と達成して、資本主義の一掃にまで、労働者、勤労者を導いてくれる、まるでいいことづくめの魔法の路線、万能の戦術≠ナあろうか。

 共産党はすでに共産党のテリトリーとなるべき、17の選挙区を公表し、民進党に、それを認めと迫っているので、我々もまたこの17の選挙区の具体的な検討から始めることにしよう。そうすれば、志位の野党共闘路線の実際も徐々に明らかになってくるだろう。

 共産党が民進党に候補者をおろし、共産党に任せよ――そしてその代わりに、他の全ての小選挙区で民進党を中心とした野党候補を支援する――として持ちだしているのが、以下の17選挙区である。

 埼玉5区、千葉13区、神奈川10区、12区、東京20区、長野4区、京都1区、2区、4区、大阪5区、7区、17区、兵庫2区、8区、高知1区、福岡10区、沖縄4区、である。

 共産党がどんな根拠と思惑で、民主党との取り引きに、この17区を「必勝区」と呼んで持ちだしたかは定かではない。

 そこで我々は、2014年12月の総選挙の17選挙区の得票数を検討することによって、こうした戦術≠ネるものの意義や効果≠探ってみることにしよう。

 まずはっきりしていることは、2年前の総選挙の小選挙区では、共産党は唯一、沖縄で議席を獲得している。しかしそれは野党統一候補としてであって、例外的なものである。要するに、共産党は自力では=A小選挙区で勝利する実力も勢いも持っていないのである。

 とするなら、つまらない策士の志位が、野党共闘を成功させて、17選挙区を設定、共産党の候補者をそこに押し込み、野党共闘の偉大なる@ヘによって、仮に2、3名であれ共産党の議席を増やすことができるなら、共産党にとっての大勝利とソロバンをはじくのも、さもありなんとうなずける。

 17のうち、民・共が共に候補者を立てて、自民党もしくは公明党と対決した選挙区は10であるが、京都2区を除いて敗北した。京都2区では、6・6万票を得た民主党が、自民党と共産党を抑えて当選した。

 沖縄は4選挙区のうち、「野党」が全ての選挙区で、勝利したから、共産党の勝利は野党の勝利の一環ではありえても、共産党が独力で勝ち取ったものではない。

 残りの6つは関西地区の選挙区だが、維新が一つの強力な勢力として参加したために、4党が入り乱れて争う、複雑な様相を呈した。

 民・共がそれぞれ候補者を立てて主として自民に対決した10の選挙区で、民主党と共産党の得票数を比べてみると、いずれも民主党がまさっている。その中で接近しているのは、東京20区(5・1と5・0、単位万票。以下同じ)と、高知1区くらいで(3・7と3・1)、あとは民主党の方が2倍ほど、もしくはそれ以上である。ひどいのは神奈川12区で、8・3(正確には、8・26)と1・6もの差がある。

 共産党がここを「必勝区」として選んだ理由ははっきりしないが、民主党の得票数が自民党の8・3(同8・33)の間近に迫っているからであろうか。そうだとしたら、何とも手前味噌な話である。

 10のうち、民・共を足した得票数が、自民を越えるのは5つあり、単純な足し算なら、民・共の共闘で4議席増えることになるが――京都二区は民主党だけで自民党を超えたので、5つ増えることにはならない、しかし問題は単純な計算の話ではない。今年の参院選の香川選挙区で共産党がただ一つ、民・共の成果か、共産党の候補者が野党共闘の代表戦士という形になったが、民進党なら当選したかもしれない情勢だったのに、共産党の候補では野党の合計票を 勝ち取ることができず、惨敗している。民主党候補なら支持したはずの連合などが反発し、投票を共産党候補に集中しなかったからである。

 だから単純計算でまさる共産党の4候補者が全滅することさえあり得るのだが、もちろんそうなれば、志位の夢見たのは「取らぬ狸の皮算用」ということになる。

 関西3府県の政治闘争は維新や公明も絡んで複雑な様相を呈したが、しかし結局は自民や公明や維新と、民・共の闘いに帰着した。そしてここでも京都2区を除いて、民・共は勝つことができなかったのである。

 共産党が自民党と闘ったところでは、自民党が貫禄勝ちし(京都1区、4区)、民主党が降りて共産党だけが立候補し、自民党や公明党や維新といわば一騎打ちとなった、大阪の5、7、17区や兵庫8区では、すべてかなりの票差で共産党は惨敗している。

 兵庫2区では、民・共がそれぞれ候補を立てて公明党と闘い、民・共の合計票は公明党を越えたが(公明党7・8に対し、共産党3・2、民主党4・9)、議席は公明党に帰した。

 ここにも、もし民進党を野党候補にすれば勝てて、共産党なら負けかねない選挙区があるが、なぜ共産党の候補なのか。

 以上の分析から、どんな総括を、我々は引き出すことができるだろうか。(次号に続く)

   
   

【二面サブ】 春闘賃上げで安倍が新しい理屈

 安倍首相は16日、「働き方改革実現会議」で、経団連会長・榊原定征らを前に、17年春闘では、「少なくとも今年並みの水準の賃上げを期待している」「期待物価上昇率も勘案して賃上げの議論をお願いしたい」。

 そもそも、将来物価が上がることが予想されるからといって、上がるかどうかもわからないのに、労働者のためを思って賃上げをする経営者などどこにもいないだろう。利潤獲得を目指して市場を巡って激しい競争を行っている資本にとって、そんなことをしたら競争に負けて没落するだけである。激しいインフレの時代さえも、賃上げは労働者の闘いなしにはあり得ないし、またそれは物価の後追いであることを階級闘争の歴史は明らかにしている。

 安倍が、将来の物価上昇予測までも持ち出して、賃上げを要請するというのは、安倍の焦りを暴露している。ベアと定期昇給を合わせて2%台の賃上げが行われてきた。しかし、景気は、一時円安、株価上昇で、輸出大企業が潤ったものの、その後は一向によくなる気配はない。最近では、円高、中国など振興諸国経済の不振などの影響で収益が低下している。鳴り物入りで喧伝されてきたアベノミクスが破綻してきたことが明らかにされつつある。こうしたなか、安倍は自らまいたアベノミクスの幻想に縋りつき、権力を維持しようとしているのである。将来の物価上昇見込みを盛り込んで賃上げという新たな発言は、窮地に追い込まれた安倍の状況を反映している。

 一方、安倍の姿勢を、連合のダラ幹は、首相の要請によって「賃上げを要請し易い状況になった」と歓迎している。政府と連合幹部だけでなく、共産も事実上共闘して、おふざけ賃上げ論が花盛りである。


   

【二面囲み】 「土人」発言を弁護する産経――詭弁弄しすり替えを策す

鶴保庸介沖縄北方担当相は8日、沖縄県の米軍北部訓練場のヘリパッド建設工事反対派に対して、大阪府警機動隊員が「土人」「シナ人」と浴びせた言葉に、「差別であると断じることは到底できない」と言明。

 この鶴保の言辞に批判が集まり、「尾を引いている」として、産経新聞の論説委員・阿比留瑠比が擁護を買って出ている。

 この男は曽野綾子や評論家・呉智英のお仲間を動員して、「土人」という言葉は「土着の人」とか「原住民」という意味であり、その意味で自分たちは使って来たし、一般的にもそう使われるのであるから、「土人」と言って何が悪い、何ら差別語ではないと息巻いている。

 ちなみに、曽野綾子からの引用は以下である。

「私は父のことを『東京土人』とか。『東京原住民』とかよく書いている。私を含めてすべての人は、どこかの土人、原住民なのだが、それでどこが悪いのだろう」。

 阿比留瑠比はせっかく曽野のコラムを引用したが何ら補強できていないことが分かっていない。彼は曽野と同じように、「土人」は「土着の人」「原住民」のことだ、しかも国語辞典にもそう書いてある、だから機動隊員の発した「土人」という言葉は何ら問題ないという。

 しかし、当の機動隊員は反対派の抗議に腹を立てたのかは知らないが、相手を罵倒するために侮蔑する意味を込めて「クソ」「土人」と言い放ち、その場を去っていったのではなかったのか。その一部始終が「ユーチューブ」にて流れているが、それを見れば全てが分かることではないのか。当時の状況と機動隊員の態度から、「土人」が沖縄の「土地に生まれ住む人」とか、沖縄の人々とかに言い換えることができないのは、火を見るより明らかであろう。

 それ故か、彼は次には、辞典には「土着の人」の他に「未開の土着人、軽侮の意を含んで使われた」と書かれていることをわざわざ紹介する。そして、こっちの意味で使われたなら「確かに不適切だが、かといって直ちに『差別』に結びつけるのも無理がある」と付け加えるのである。

 そして、彼は最後には、ビデオカメラの前で不適切発言をするように仕向けられたのだろう」と書いて、機動隊員の発言は仕掛けられた罠であったかに問題をすり替えるのだ。

   
ページTOP